令和4年度

2021年12月の記事一覧

広さと深さ

「広く浅く」または「狭く深く」といった表現を耳にします。広さと深さに関しては、どちらかのみ成立する感覚で捉えられていますが、実際にはどうでしょうか。知識について言えば、広く深い知識を持っている人は多くいる、と感じます。深く知ろうとすれば、自然に広くなっていくことになるし、一方で、広く知ろうとすると、自然に深くなってしまう、これは当然です。様々なことがつながっているために新たな世界が広がり、また、そうしたつながりを知ると、知識の奥深さを感じ取ることができます。ここにこそ、知識習得の面白さがあります。

12月10日(金) 川俣高等学校長

現存するもの

皆さんが例えば、ペットボトルの良い点をあげるよう問われたら、いくつ答えることができますか。「液体が漏れない」「片手で持つことができる」「静置できる」「リサイクルできる」など、比較的多くの回答が浮かぶことと思います。このように、存在するものには必ず大きな価値や大きな意味がある、このことは前に書いたとおりです。その一方で、消えていったものにも、その理由があるはずです。ペットボトルに関して言えば、以前に、細くて長方形型のスリムペットボトルという商品開発がなされました。カバンにも入れやすく、見た目もスッキリとしていたためにデザイン大賞も受賞しましたが、あまり普及しませんでした。お店で売る際には問題はないのですが、長方形型のため転がらず、自動販売機には入れられないことが原因でした。そういえば、自動販売機では、お茶の多くは缶ではなくペットボトルで売られています。以前は缶であったのに、どうして変わったのか。加熱用ペットボトルの開発がなされたことも要因の一つですが、加えて、お茶は、コーラのように一気に飲む類のものではないため、フタを閉めることができるペットボトルタイプの方が便利、という理由もあるようです。こうして考えてみると、皆さんの周囲にあるものは、様々な課題を一つ一つクリアした、素晴らしいものばかりであることに改めて気づかされます。現存するすべてのものを、大切にしないわけにはいきません。

12月9日(木) 川俣高等学校長

 

 

百聞は一見に如かず

百聞は一見に如かず、この言葉は、「百聞は一見に如かず。百見は一考に如かず。百考は一行に如かず」と続くのだそうです。ただ見るだけではなく、「その意味やその先を考えよ。そして考えたら行動せよ。」ということから、思いつきではなく深謀遠慮した後の行動が大切である、との伝えと理解しています。この心構えは、私たちの日常生活の中でも多く取り入れる場面がありそうです。

12月8日(水) 川俣高等学校長

レビューの活用

知識を高めるために、読書は欠かすことのできないものです。でも、例えば、皆さんがヘーゲルの「精神の現象学」に興味を感じて読んでみようとしても、上下巻2500ページを超えるこの本は、読むにはなかなか骨が折れそうです。時間をかけて読んでみたものの、あまり得るものはなかったり、一定の得るものはあったものの、時間がかかりすぎたなど、内容と時間とのバランスが課題になることもよくあります。その際には、レビューの活用をお薦めします。映画や電化製品と同様に、本にもレビューが付いています。レビューの読解力さえ高めていれば、大きな失敗を招くことなく、確実に興味ある本を手にすることができるし、また、最後まで読破もできます。コンパクトにまとめられた解説書的存在のレビューを有効活用して、飛躍的な知識の向上を図りませんか。

12月7日(火) 川俣高等学校長

独自性

人には皆、素晴らしい個性があります。その存在に気づいていない人もいますが、間違いなく、各人が個性を備えています。他者との比較に大きな意味はありません。むしろ、自分の良さを信じる姿勢こそ大切です。お経の中に、「青い色には青い光があり、赤い色には赤い光がある」という「青色(しょうしき)青光、赤色(しゃくしき)赤光」という言葉があります。青光(赤光)は、それだけで既に素晴らしい存在である、という意味と理解しています。自信を失う場面に遭遇したり、挫折感を味わったりした際には、自らの持つ個性の力を信じて、何度でも立ち上がってほしいと思います。他者とは異なる個性であるからこそ、移り変わりの激しい現代において価値があります。

12月6日(月) 川俣高等学校長