令和4年度

2021年11月の記事一覧

心底から好きなもの

かつてノーベル医学・生理学賞を受賞された利根川進氏は、科学分野で成功するには好きになること以外にはない、と話されていました。この世界では、何が正しいのか、真実は何なのかは全くわからないので、好きかどうか、言い換えれば、打ち込めるかどうかにすべてがかかっています。知るためには手段を選ぶことなく、ただただ疑問を解決するために探究し、そして成果を上げられた方が多くいたために、現在の私たちの生活が保証されているとも言えます。生徒の皆さんは、何か打ち込めるものを持っていますか。損得勘定を抜きにして没頭できるのは、人として幸せな瞬間だと思います。

11月30日(火) 川俣高等学校長

発想力

生徒の皆さんは、知識の定着を図るために何度も繰り返し覚えたり、その分野に興味を持つようにするなど、様々な工夫をしていることと思います。では、発想力を高めるためには何をすればよいのでしょうか。これは難しいことにも思えますが、意外に簡単に行えます。たとえば、リンゴのデッサンをして、その後に頭で想像しながらリンゴの木を描いてみたりするだけで、飛躍的に発想力が向上します。また、偶然に通り過ぎた建物を上空から見た光景を考えたり、停車している車の後ろ部分から前方部分を想像してみる、こうしたことも同様の効果があります。ちなみに、この車の前方部分を想像する取組は、実際に、東京大学工学部の講義に取り入れられた、アーティスト思考と呼ばれるやり方です。皆さんも、日常的にこうした実践を心がけることで、一層豊かな発想力を身に着けてみませんか。

11月29日(月) 川俣高等学校長

心想事成

礼を重んじる競技は数多くあり、将棋もその中の一つです。トップクラスの棋士であればあるほど、対局前に深々と一礼をします。また、対局で負けた際の「参りました。」の言葉も、はっきりと話されます。その一番にかける思い、加えて、将棋に対する愛情や敬意がそうさせるのだと思います。そして、平素より本気で打ち込んでいればいるほど、実力だけでは決することのできない領域に踏み込んだ際に、勝負の神様が微笑んでくれるのだそうです。どんな分野においても、心に想うことは成る、という意味を持つ心想事成(しんそうじせい)の精神を忘れることなく取り組む、これこそ大切なことと強く思います。

11月26日(金) 川俣高等学校長

熟慮断行

「慌ただしい」と称される人がいます。じっくりと考えない人を指します。また、「変わりやすい」と称される人がいます。やると決めても長続きしない人を指します。前述したタイプに属する人は、進路選択をする際にも同様の行動を取る傾向にあります。自らの進路です。大切な決断の機会です。よくよく考えて選択し、いったん決めたらその意思を貫く熟慮断行の精神で臨んでほしい、と思っています。

11月25日(木) 川俣高等学校長

想定外

将来に対する不安を少しでも取り除いて穏やかな生活をしたい、こうした気持ちから、人は計画性を重視します。でも、過度に将来への不安を持ってはいませんか。そうした場合、詳細な計画を立てすぎているのかもしれません。あるいは、願い事が多すぎるのかもしれません。または、すべてのことを自分の想定内に置きたい、と強く願っているのかもしれません。こうした中においては、気苦労も絶えないことになります。「自分の生涯に、数々の不意打ち(想定外)の出来事があった」とニーチェは述べています。彼の前には、ただただ、なだらかな平面があり、彼は、ただただそこを歩くのみ、という心境であったそうです。私たちは、頭の中を100%の計画性で満たすのではなく、数%の余白を残し、そのことが原因で起こる予期せぬ出来事を、臨機応変な対応をとおして楽しむなど、少しだけ余裕を持つべきなのかもしれません。

11月24日(水) 川俣高等学校長

プロセスを求める

弓道の世界では、結果を出すために必要なこと、それはプロセスを大切にすること、とされています。矢を放す前に「当たるだろうか」といった迷いは禁物。的に当たる結果よりもむしろ、矢を放ち終わるまでのプロセスを正しく行うことが大切であり、また、正しく射られた矢は必ず的に当たります。そういえば、元大リーガーのイチロー選手は、試合のある日は、朝起きてから球場入りするまでに行うこと、加えて、試合前のアップから試合中の打席に向かうまでの動作等をすべて決めており、毎回その繰り返しをしたそうです。まさに正射必中(せいしゃひっちゅう)の考えを実践され、偉大な記録を残されたわけです。生徒の皆さんも、日常生活の中で何か自分のプロセスを決め、その実践を継続してみませんか。

11月22日(月) 川俣高等学校長

やるしかない

生徒の皆さんは課題等の提出期限が迫ると、やるしかない、と心に言い聞かせて取り組むはずです。この「やるしかない状態」は本気度を上げてくれることから、人がうまく事を運べる環境作りに貢献してくれます。一方で、何もすることがないときは一見すると楽にも思えますが、実はこの瞬間に無が襲ってきます。世界の美しい色をすべて取り去ってしまうほどの心の無、この影響は大きく、これまでに苦労して備えた向上心、やる気を奪い去ってしまいます。こうした虚無感を感じることのないよう、何かに意欲的に取り組むとともに、こうした取組みができる自分は幸せである、と常に感じていたいものです。

11月19日(金) 川俣高等学校長

幸福な知性

知性的であることの大切さについては、本HPでも複数回触れていますが、ドストエフスキー著「カラマーゾフの兄弟」に出てくる次男イヴァン・カラマーゾフのように、彼の持つ知性のために生きる意味を見出せなくなるなど、知性が不幸を導くことも稀にあります。せっかくの知性であれば、幸せになるために使いたいものです。幸福な知性、それを身に着けるにはどうすればよいか。その一つとして、様々な知識やニュースに触れ、耳を傾け、物事を広い視野により見ることができるよう心がけることが重要です。そういえば、取り組む学問分野を一つに絞り込んだとしても、何年経っても、その奥深さに驚かされます。ましてや、学問分野は数えきれないほど多岐に渡ります。楽しいと思うものや面白いと感じるもの、それらを少しでも深く知りたいという純粋な思いの下、学習・研究に没頭しているうちに歳を取る、これこそ幸福な知性獲得の理想の姿かもしれません。

11月18日(木) 川俣高等学校長

足元の追求

今、自分の置かれている環境を息苦しく感じることは誰にでもあります。でも、今、自分が踏みしめている地面(自分がいる環境)、その下には必ず泉(無限の可能性)があります。競技の世界で言えば、その泉を探し当てた人がトップアスリートとなります。一人では泉を探すことができなくても、良きコーチの指導の下、見つけ出すこともできます。さて、生徒の皆さんの場合、良きコーチに当たるのは先生方です。良きアドバイスを受けることで、自分の足元にある、生徒の皆さんだけの泉を必ず探し当ててください。

11月17日(水) 川俣高等学校長

順風満帆という言葉に代表されるように、人生は風と帆の関係に例えられます。でも、順風であれ、また逆風であれ、風さえあれば帆をあげることができます。ケガをして競技ができなくなった選手が逆風と感じていたその時期に、それでも復活を信じて地道なトレーニングに取り組み、後に競技に復帰した際に活躍できた事例は多くあります。要は、少しの風であっても、自分を信じ、帆をあげる勇気を持つことが大切です。すべての場面で帆をあげる必要はありません。本田宗一郎氏は、「得手に帆をあげよ」と話されました。まずは得意な分野で力を伸ばせ、という意味と理解しています。生徒の皆さんも、自分の得意とする分野で、高々と帆をあげてみませんか。

11月16日(火) 川俣高等学校長