令和4年度

チョウは適当にふわふわと飛んでいるように見えますが、そこに一定のルール(基本概念)があることをご存じでしょうか。ナミアゲハやクロアゲハなどアゲハチョウの仲間には、日当たりのいいところに育つミカンやカラタチの木に卵を産むものが多いため、自然にそうした木の上を飛ぶようになるのです。こうした通り道をチョウ道と呼びます。一方で、キアゲハは、セリやニンジン、パセリなどセリ科の草に卵を産むため、広がる草原の上を飛ぶこととなり、結果としてチョウ道はできません。また、モンシロチョウはアブラナ科の植物を好むため、耕したばかりの畑には近寄らず、また、緑のない場所も飛ばないのです。こうした研究は、かつて滋賀県立大学長であった日高敏隆氏によってなされました。当時はあまり注目されることのなかったこの研究は、時が移ろい、街に明るい公園を作り、中央に大きな花壇を設置して、チョウの舞う街づくりをしようとした多くの地方自治体に注目されることとなります。大学の研究意義は、現状を変えるだけではなく、将来を変えるという意味においても大きな意義があると思います。また、チョウにはチョウ道(チョウのルール)があるように、街づくりにも街づくり道(街づくりのルール)が、そして、学校づくりにも、確固とした学校づくり道(学校づくりのルール(基本概念))が必要不可欠とも言えます。

5月26日(木) 川俣高等学校長