令和4年度

葦間の月

良寛和尚の歌に、「浮き草の生ふる渚に月影の ありとはここに誰か知るらん」というものがあります。通い慣れた道の傍らの葦の間に、昼間なら気づかない水たまりを見つけ、そこに天上の月の影がくっきりと映っている光景は、山奥の庵に住む自分によく似ている、といったことを表しています。月明かりに照らされて、夜に葦間から姿を現す水たまりとは、人の内面なのかもしれません。人の心の奥底には、清い月影が宿っています。その存在を自らの力で見つけることができたとすれば、それは素晴らしいことです。また、それに気づいてくれる友人がいたとすれば、それもまた、素晴らしいことです。

12月21日(火) 川俣高等学校長