令和4年度

校長より

言葉を発する

言葉は常に私たちの身近にあります。周囲の人からかけられる言葉により、励まされることが多くあります。一方で、言葉により、思いもかけず人を傷つけることもあります。言葉の遣い方には難しい面があることは事実です。でも、絵を描く方も、音楽を奏でる方も、また、作家として作品を書く方も、自らの正直な思い、言い換えれば、自らの言葉を発しようとする強い意識をお持ちであることも事実です。H・E・ノサックも、『言葉とは、あらゆる創造の動機です。これこそ、作品にいつまでも生命を与える動機です。』と述べています。生徒の皆さん、選択する言葉の判断基準は皆さんの心にあります。言葉という存在と正面から向き合いながら、自らの存在を再認識するよう努めるのも、有意義な日々となります。

3月13日(水) 川俣高等学校長

クルミ割り

かつて東北大学に勤務していた心理学教授が、自分の車の前に落ちてきたクルミを目にします。視線を上に移すと、そこにはカラスがいました。固いクルミの殻を割るために、車を利用したと感じたその教授は、カラスの習性を研究し始めます。秋に落ちたクルミを拾い集めて冬まで保管しておき、食べ物が減る時期になると、カラスが前述したような行動を取ることがわかりました。ただ上から落とすばかりではなく、タイヤのすぐ前に置いて割れやすくするカラスがいることも発見します。そういえば、岩手県では、とても美味しいと表現するときに、クルミ味がする、と言うように、クルミを好む人は全国的にも多く、カラスもその味を覚えたようです。なお、ハシブトカラスはあまりこうした行動を取ることはなく、ハシボソカラスが主にそうするようです。カラスはなかなか賢いことはわかるものの、運転者の立場からすれば、ドキッとする場面でもあり、迷惑な話ではあります。

3月12日(火) 川俣高等学校長

公園内の看板

マッキンリー山麓に広がるデナリ国立公園は、広大な谷が見下ろせる場所があるなど人気の高い公園である一方で、野生動物が生息する世界を守るために、人がエサを与えることを禁じていることでも知られています。でも、リスなどが近寄ってくると、思わずエサを与えてしまう人が後を絶たず、管理者は頭をかかえていました。ある日、公園内の複数個所に看板が掲げられます。そこには、人からエサをもらい続けていると身体が大きくなり、イヌワシに見つかってしまうぞ、という、リスに対する警告文が書かれていました。もちろん、リスがその文を理解できるはずはなく、明らかに人を意識したものです。そのユーモアの部分も受け入れられ、その後、リスにエサを与える人は劇的に減少したそうです。伝えようとする内容が同じであったとしても、表現の仕方により、その伝わり方に違いが生じることはよくあります。

3月11日(月) 川俣高等学校長

水質改善

ホタルは一般的に綺麗な川に棲みつくと言われており、これは、幼少の頃から汚れのない川に棲み、カワニナをエサとして育つゲンジボタルを指しています。ホタルを呼び戻すために水質改善を図った自治体は、かつて多くありました。でも、水に注目することに加え、川底や護岸にも気を配ることも大切なことに気づきます。ホタルは岸辺の水草に卵を産みつけます。卵からかえる幼虫は浅い水底の石の間に棲むため、石礫を入れる必要があります。また、成虫になる前には、一時土に入ってサナギになるので、護岸には土の部分がなければなりません。大切な生命が誕生するには、そして順調に成長をするには、多くの良き環境を要します。

3月8日(金) 川俣高等学校長

亀の歩み

亀は休まずに歩み続け、兔は途中で居眠りをしたために亀が競争に勝った、というイソップ寓話をご存じの方も多いと思います。背景には、継続は力なり、を伝えたい意図があります。でも、現実的に亀が兔に勝つことは考えられるのでしょうか。その研究をした睡眠科学の専門家がいらっしゃいました。亀は変温動物なので、外気温により亀の身体は温かくなったり冷えたりします。スタート時は身体が冷えているためノロノロとした動作の亀も、しばらく動きながら筋肉を使うにつれ体温が上昇し、それに伴い四肢の動きも活発になります。加えて、亀は高温に強いため、体温が上がれば上がるほど調子も上がることになります。途中で休むと身体が冷えてしまいパフォーマンスも下がるため、休まずに歩み続けたことは理にかなっている、というわけです。一方で、定温動物の兔は常にウォームアップ状態にありますが、体温変化に対応できる幅が狭く、少しの体温上昇でもパフォーマンスが下がってしまいます。それを避けるには休む必要があり、兔が居眠りをしたことも一理あるわけです。でも、そうすることで時間のロスが生じるため、亀が勝つ割合は格段に高くなるというわけです。さて、兔と亀の競争、生徒の皆さんはどう考えますか。

3月7日(木) 川俣高等学校長